AWS最新ニュース解説：ハイブリッドクラウドの躍進とARM対応の拡大

AWS-Nutanixパートナーシップがエンタープライズ向けハイブリッドクラウド戦略を強化

企業のIT環境が急速に分散化し、アプリケーションの要求が高まる中、ハイブリッドクラウドは「将来の選択肢」から「現在の必須要件」へと変化しています。このトレンドを受け、AWSとNutanixが戦略的パートナーシップを発表しました。

このパートナーシップは、スピード、スケーラビリティ、シームレスな移行を実現するハイブリッドクラウド戦略を企業に提供することを目指しています。現代のワークロードは、オンプレミスとクラウドを柔軟に行き来できる環境を必要としており、両社の連携はこの需要に応えるものです。

特に注目すべきは、このニュースがBroadcomによるVMware買収後の市場動向と関連している点です。多くの元VMwareユーザーが、Broadcomの新たな契約条件や価格設定に「激怒」「失望」しており、Nutanixへの移行を選択しているというレポートも出ています。Broadcomが自社の顧客に法的警告を送付する事態にまで発展しており、クラウド市場の競争は一層激化しています。

AWS Deploy Tool for .NETがARMベースのコンピュートをサポート

AWSは、AWS Deploy Tool for .NETが特定のARMベースのコンピュートプラットフォームへの.NETアプリケーションのデプロイをサポートするようになったことを発表しました。Visual Studioから直接、あるいは.NET CLIを使用して、コスト効率の高いARMインフラストラクチャへのデプロイが可能になります。

ARMベースのインスタンスは、x86アーキテクチャと比較して優れたコストパフォーマンスを提供することで知られています。特にAWSのGravitonプロセッサを搭載したインスタンスは、同等のx86インスタンスと比較して最大40%のコスト削減と優れたパフォーマンスを実現できる可能性があります。

この機能強化により、.NET開発者はより簡単にARMアーキテクチャの利点を活用できるようになり、クラウドでのアプリケーション運用コストを大幅に削減できる可能性があります。

リアルタイムデータストリーミングの重要性が増大

Snowflakeがリアルタイムデータ取り込み機能を強化しており、モダンアナリティクスと運用インテリジェンスにおいて不可欠な要素となっています。IoTセンサー、金融取引、アプリケーションイベントなどからのデータストリームを最小限の遅延で処理する必要性が、あらゆる業界で高まっています。

AWS Kinesis、Amazon MSK、Amazon EventBridgeなどのサービスとの連携を通じて、リアルタイムデータパイプラインの構築が容易になり、企業はデータの価値をより迅速に引き出せるようになっています。

セキュリティ警告：教育大手Pearsonがサイバー攻撃を受け顧客データが流出

教育業界の大手Pearsonがサイバー攻撃を受け、企業データと顧客情報が盗まれる事態が発生しました。クラウドサービスを利用する企業にとって、セキュリティ対策の重要性を改めて認識させる事例となっています。

AWSなどのクラウドプロバイダーはセキュリティサービスを提供していますが、「責任共有モデル」の下では、データやアプリケーションレベルのセキュリティは顧客側の責任です。AWS GuardDuty、AWS Shield、AWS WAFなどのセキュリティサービスの活用と、包括的なセキュリティ戦略の実装が今後ますます重要になるでしょう。

まとめ

クラウド市場は、ハイブリッドクラウドの台頭、ARM対応の拡大、リアルタイムデータ処理の需要増加など、多くの変化を経験しています。同時に、セキュリティリスクも増大しており、包括的なセキュリティ対策の必要性も高まっています。

企業はこれらのトレンドを理解し、自社のクラウド戦略を適切に調整することで、テクノロジーの進化を最大限に活用できるでしょう。AWSとNutanixのパートナーシップや.NETツールのARM対応など、クラウドプロバイダーは顧客のニーズに応えるための革新を続けています。