スタートアップの資金調達、「質」にシフトする時代へ

近年のスタートアップシーンでは、単に資金調達額の大きさを競うのではなく、調達の「質」が重視されるトレンドが鮮明になっています。

かつては「〇億円調達」という見出しがもてはやされた時代がありましたが、今や投資家の顔ぶれやその後のサポート体制、シナジー効果など、資金以外の価値が問われています。

特に注目すべきは、業界に精通したVC（ベンチャーキャピタル）からの出資や、事業会社との戦略的提携を伴う調達の増加です。これらは単なる「お金」ではなく、市場へのアクセスや専門知識、人脈といった無形資産をもたらします。

また、調達ラウンドの間隔を意図的に長くし、各フェーズで着実な成長を示すスタートアップも増えています。「成長のための資金」から「成長を加速するための資金」という考え方への転換が見られるのです。

資金調達はゴールではなく、真の事業価値を生み出すための通過点に過ぎません。量より質を重視する今の流れは、スタートアップエコシステムの成熟を示す健全な変化と言えるでしょう。